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JPRレポート

ミクシィとDeNAはどちらが高く評価されるか?
2010年3月2日

最近、ミクシィとDeNAについて取材する機会を得た。

DeNAは、新しく導入したSNSゲームによる急成長や海外展開でのニュースなどで株価が堅調である。

 一方で、ミクシィはミクシィアプリの導入により外部業者への支払がかさみ今年初めに下方修正して以降は株価は軟調に推移している。

 何かと注目される2社であり、新しいビジネスモデルを追及しているため短期的には上下動するリスクを常にはらんでいるといえる。

しかし、長期的にみれば両社とも、明確なコア戦略の追求という視点では非常に強固なビジネスモデルを追及しているといえよう。

SNSゲームとひとくくりにされてる両社だが、実はターゲットとなる顧客層は、全く異なるビジネスモデルを追及している。 いや、異なる顧客層というよりも異なる性格層といったほうが正確かもしれない。

ミクシィは、物理的・時間的制約があってもリアルな交友関係を強化することをサイバースペース上で追求している。従って、あえて同期して交友関係を楽しむ仕組みは導入しない方針である。 よって、同期性が必要なロールプレイングゲームや、スカイプのような双方向コミュニケーションサービスは導入しないのである。

時間的制約がなくて物理的制約がある人はスカイプをつかってコミュニケーションを図ることができるが、同様のサービスをミクシィは、今の経営哲学を維持する限りは導入することはないだろう。

あくまで、物理的・時間的制約があってもリアルな交友関係を強化することを支援する仕組み、仕掛けの構築にフォーカスしている。 SNSゲームといってもあくまで、リアルな交友関係を補完するものとして位置づけられている。リアルな性格を対象としてといえる。

一方でDeNAにおけるSNSゲームは全く逆であり、徹底的にリアルな交友関係を断ち切り、あくまでバーチャルな交友関係を築くことを目標としている。

 つまり、DeNAのSNSゲームは、ゲーム人格をあくまで追求しているのである。 従って、徹底的に個人情報が分からないように、ものすごいコストをかけて監視している。

徹底しているため安心してバーチャルな関係を楽しむことができるわけである。

同一人物でも、リアルな性格でSNSを楽しむときはミクシィを、ゲーム性格でSNSを楽しむときは、DeNAを、というように見事にニーズが分かれているのである。

同一人物が、DeNAのサイトでゲームを遊ぶ場合と、ミクシィアプリを通じて、ミクシィのサイトでゲームを遊ぶ場合では、全くシチュエーションが異なるため、両社は同じSNSでしかも同一人物を顧客としても、市場の取り合いにはならないのである。

アナリスト向け説明会でも、DeNAの南場社長は、ミクシィに対してDeNAがゲームを提供するようになっても、全く顧客の食い合いはなかったとしている。

これは、以上のような理由から説明が可能である。 まさにサイバースペースだからこそできる業であろう。ディズニーランドがリアルにふたつできれば、必ず顧客の食い合いがおきるだろう。

インターネットでは性格をターゲットにビジネスを展開すれば、同じ顧客からパイを奪い会うことなく市場拡大を実現することができるのである。

さて、それでは、両社の株価評価はどちらが高くなるであろうか? 個別株の評価を行う場合、顧客から見てスイッチングコストの高さ、すなわち他のサービスへの乗り換えが容易かどうかという観点からの評価が重要である。

リアルな交友関係をベースに顧客を獲得しているミクシィは非常にスイッチングコストが高いため強固なビジネスモデルを以前から築いているといえる。

DeNAも今回のSNSゲームによる売上成長で、バーチャルであるものの、交友関係を築いているという意味では同じように、スイッチングコストが高いビジネスモデルの構築に成功しつつあるといえよう。 単なるゲームだけでは、グリーに会員数が抜かれたように、スイッチングコストが高いビジネスモデルとはいえなかったが、今回のSNSゲームの導入によりビジネスモデルの展開がなされたと考えるべきであろう。

なお、国際展開という意味では、DeNAがミクシィよりも上手である。なぜなら、既に海外企業に出資して進出の足がかりを築いていること、また、完全にバーチャルであるため、日本を越えたバーチャルな関係も築けること、の二点でDeNAが評価できるからだ。

 また、範囲の経済という視点でもゲームだけでなくEコマースなど幅広い事業展開を行っているDeNAの方が事業拡大の可能性がある。

昨年12月の時点ではPER等からみてミクシィがDeNAよりもより高く評価されていた。 今はDeNAが逆転している。

 ミクシィは、ミクシィアプリについて外部業者との経済利得の配分で、外部に流れすぎていた部分を確実に修正してくるため、両社のPERの格差は縮まる可能性が高い。

 しかし、DeNAがミクシィと同じくスイッチングコストが高いモデルと築きつつあること、また、国際展開やゲーム以外の事業も幅広く手がけているため、範囲の経済が機能する可能性があることから、当面はDeNAがより高く評価される状態が続くと推測されよう。

ミクシィについては国際展開などの業容拡大が、さらなる株価評価には必要となろう。

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