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物理学の法則に、エネルギー保存の法則がある。
つまり、何がおきてもある閉鎖体系の前後のエネルギーの総量は同じである。
これはバイオエネルギーの生産においても同じである。
バイオエネルギーの生産の前後において、閉鎖体系としてみれば、エネルギーの総量は同じである。
では、バイオエネルギーの生産とは何か?
これは、藻類バイオエネルギーの画期的な抽出方法で著名な名古屋大学の神田英輝先生の受け売りだが、じつはエネルギーではなく、エクセルギーを生産していることに他ならない。
エクセルギーとは、人間が使える「有効なエネルギー」である。
すなわち、電気とか、ガソリンとか天然ガスである。
一方で非エクセルギーとは、そのままでは使いにくいエネルギーである。
太陽光、風、排熱、摩擦熱、ごみに含まれている化学エネルギーなどである。
つまりバイオエネルギーの生産とは以下を行っていることに他ならない。
A:投入非エクセルエネルギー(太陽光、風、排熱、摩擦熱、ごみに含まれている化学エネルギー、重力、浮力)
+B:投入エクセルエネルギー(電気、ガソリン等)
=>
C:産出非エクセルギー(排熱、残渣に含まれる化学エネルギー)
+D:産出エクセルギー(バイオ燃料)
エネルギー戦略としては、技術力向上により、以下を目指すことに他ならない。
<投入において目指すこと>
A:(太陽光、風、排熱、摩擦熱、ごみに含まれている化学エネルギー、重力、浮力)を増やして、
B:(電気、ガソリンなど)を減らすこと、
<生産において目指すこと>
C:(排熱、残渣に含まれる化学エネルギー)を減らして
D:(バイオ燃料)を増やすこと
現状すべてのバイオエネルギーは ざっと言えば、大まかにB:Dが=1:1程度である。
つまりあれこれやっても、有効エネルギーはほとんどかわなっていない。
藻類でも大豆、とうもろこしも似たようなものである。
では、B:Dが2倍、3倍、いや10倍に増える余地があるのは何か?
その増える余地があるものに投資をするのが、賢い投資家であり、賢い政策である。
説明は省くが、その余地があるのは、はっきり言って藻類だけである。
大豆やトウモロコシに生産性の向上の余地はほとんどない。
人類が数千年かけて品種改良してきた大豆やトウモロコシにこれ以上2倍、3倍の生産性向上を望むことは、常識的にみて困難であろう。
一方で、たかだか数十年の培養の歴史しかない藻類はものすごい生産性の向上の余地がある。
詳細は、わたくしが編者となった藻類産業創成コンソーシアムの技術ロードマップを参照にされたい。
だからこそ世界中で藻類エネルギーへの投資が、たとえシェールガス革命があったとしても衰えないのである。