IRの力で企業価値向上に貢献する ジェイ・フェニックス・リサーチ株式会社
PDFはこちら:4318
経営についての参考資料はこちら:20190226_StewardShip_seminar_JPR
GCC経営の短い紹介資料はこちら:GCC_ManagementSystem_20190329_JPR
ジェイ・フェニックス・リサーチ株式会社(以下「JPR」)では、心をつかむ企業価値の創造経営の3要素として「①挑戦者としての社会貢献(成長)」「②ステークホルダーの絆(つながり)」「③信頼(安心)」が重要だと考えています。その三つを実践している上場企業の経営者様にインタビューを行い、他の上場企業の指針として記事にしていく予定です。
第二回では、看護師や建設関係などの専門職の人材紹介を行う株式会社クイック[4318]の代表取締役会長兼グループCEO和納勉様にインタビューを実施しました。(インタビュー実施時:2019年6月4日) ※以下敬称略
左:代表取締役会長兼CEO和納勉様、右:弊社代表取締役 宮下修
宮下:和納会長、本日はインタビューの機会を頂戴し、ありがとうございます。早速ですが、足元の業績についてお伺いします。19年3月期は、9期連続で増収増益を達成し、当期も売上高で前期比14.3%増収、営業利益で前期比17.4%増益と安定して業績を伸ばしていますね。今の好調な業績の要因をどのようにお考えですか。
和納:おかげさまで、事業環境と施策が上手くはまり、今回の業績が達成できました。事業環境では、有効求人倍率の上昇と失業率低下により、人手不足となり当社事業の追い風になりました。また、その中で当社は、人材不足が一際激しい専門職領域の人材紹介及び人材派遣の積極的な展開により、事業を推進して参りました。そのため、より高単価でビジネスが進んだと思います。
宮下:たしかに好調な事業環境だとは思われますが、競合が多い中でもこのように順調に成長している要因は何だとお考えですか。
和納:一つは、専門職に特化しその領域を広げていく戦略を取っています。従来求人誌でやっていたもので、手数料が低いが手離れがいいものを対象に市場を開拓しており、WEBサイトの充実にも力を入れ、利用満足度の向上などを通して差別化しています。また、当社だけに限らず人材業界においては「信頼」や「実績」が重視されるため、新しい市場でケアをしながら、働く人の満足度向上を心掛けています。経営理念である「関わった人全てをハッピーに」をもとに、企業の人事部や働く人、すべてのステークホルダーとの関係を意識しています。
宮下:わかりました。働く人の幸せを最優先に、「日本の人事部」として信頼と実績を積み重ねたからこその増収増益というわけですね。「関わった人全てをハッピーに」という経営理念は、当社が重視するGCCの概念(※後述)に完全に当てはまっており、御社では理想的な企業価値創造経営が実現できていると感じます。御社の企業理念について、もう一度教えていただけますか。
和納:「関わった人全てをハッピーに」は、創業以来ずっと掲げてきたもので、株主や取引先、求職者、各メディアの読者様、また弊社の社員や家族、地域社会などの全てのステークホルダーを幸せにしたいという想いがあります。経営資源の中でも「ヒト」と「情報」に特化し、最適マッチングを提供することで価値を創造していき、日本全国から世界の人々の幸せに貢献したいと考えています。そのためにも、景気動向に左右されない強い基盤を作り、最高のサービス提供の実現をめざしています。
宮下:ますます、御社の魅力を知りたくなりました。弊社の考えるGCC経営によるしあわせ付加価値🄬(Happiness Value Added)という企業価値のフレームワークに合わせて質問させていただきます。まずは、”G”にあたる売上高成長について、御社は1,000億企業を目指して事業展開を行っているとのことでしたが、国内人材事業ではどういった見通しでしょうか。
和納:看護師など専門領域に特化した人材サービスを展開していますが、方針は変わらずに新たな業種の領域を1つ1つ取り込みながら拡大していきます。ブルーオーシャンなので市場規模の推測が難しいですが、潜在市場は大きいと思い、今は先行投資を続けています。
宮下:国内でも安定して伸長が期待できますが、海外事業も収益に貢献しているようですね。これは、昨今の規制緩和によって、やりようによっては更なる伸びが期待できそうですね。また、Indeedの伸びが収益に貢献していると思っており、御社のアナログの強みとデジタルの融合でさらなる成長が期待できますが、いかがでしょうか。
和納:まず海外事業ですが、特定技能や実習生というのは非常にリスクが大きく、進出するかは未定でいます。現在、海外事業では海外進出されている現地の日系企業に対して人材紹介や派遣、人事労務コンサルティング等の人材関連サービスを提供しています。ですが、やはり日本人だけを対象としていては1,000億円の目標は達成することができません。その一方で、中国人を中心にアジアからの留学生が一説には80万人強もいると言われており、彼らは英語圏や欧米企業での就労を望んでいる現状があります。そこを結び付けるのがチャンスだと感じており、これを実現するために、国境を越えた転職支援等のグローバル人材サービス「クロスボーダーリクルートメント」に注力していきたいと考えています。
宮下:今までは海外在住の日本人や現地日系企業中心だったのが、これからは関係なく企業も人もグローバルにしていくということですね。確かに、中国の留学生は優秀で数も多い。そういう人も、日本の職に魅力があれば連れて来ることができるとは思います。ただ、グローバルな人材会社は多くありますが、差別化などはどのようにするのでしょうか。
和納:グローバルな人材会社は、基本的にヘッドハンティングという形で手数料の高いところを狙っています。例えば、金融系や高度なエンジニアなどで、スカウトに近いと思います。なので、数の観点からクロスボーダーで拡大していく企業はあまりありません。加えて、中国国内では人材業界が規制産業となっており、慎重に扱われているためにそのような動きがないのが現状です。以上から、グローバルなクロスボーダーリクルートメントは今後非常に有望だと考えています。広域な世界のニーズを狙うにはWEBサイトは必須で、これを構築し世界に広めていきたいと考えています。
宮下:なるほど、理解しました。では、続いて、GCC概念のConnectionに当たるROIC(投下資本利益率)について質問させていただきます。御社の特徴として紹介対象の人材や採用企業に対する手厚いケアがありますが、具体的にどのような手段でソリューションを提供しているのでしょうか。
和納:人材採用におけるワンストップソリューションを提供しています。人材採用広告から、人事・労務コンサルティング、社内研修に至るまで人事に関わる全ての領域でお客様をサポートしています。ただ、これは顧客企業だけではなく、就職希望者にとってもメリットが大きいと考えています。また、情報面からも企業の人事部担当者様に情報提供することで、人材分野のネットワークを構築し、信頼を積み重ねています。
宮下:「日本の人事部」ということで人材分野のネットワーク化を推進して、つながりを強めているのですね。そのような施策で御社のROIC(投下資本利益率)は52.9%と凄まじい数字になっています。これは、日本の上場企業の中でもトップレベルです。また、今後の方向性として、Indeed事業が利益率向上に期待できますが、どうでしょうか。
和納:Indeedでの伸びは大きいです。Indeedでの売上の8割は手数料としてIndeedに帰属し、残りの2割しか弊社の売上にはならないため代理店としての収益は大きくないですが、掲載される情報がより多く表示され、より多くの求職者にクリックいただくため等の運用面での収益が高いため、今後はこの部分のサービスを強化して利益拡大を図っていきたいと考えています。
宮下:運用型広告に関しても私は今後利益率を拡大させていくドライバーになると考えています。その中で、先日弊社でレポートを書いたイオレ[2334]も運用型広告で市場トップを狙っています。イオレという会社はご存知でしたか?
(※イオレ[2334]のレポートはこちら)
https://j-phoenix.com/wp-content/uploads/2019/05/2334_eole_midtermVision_20190517.pdf.pdf
和納:いえ、存じ上げていませんでしたが、かなり面白そうな会社ですね。親和性があると感じました。
宮下:人材会社は、そもそも働いている社員が活き活きとしていなければいけないと思っています。その点に関しても御社はしっかりとやっていると思います。要するに人を助けるということは、人として楽しいこと。その働いている人が楽しいからこそ、やりがいもあるし、顧客もお互いに楽しくやれていると思いますが、どうでしょうか。
和納:それは合っていると思います。弊社では「離職率が低い」というところに象徴されていると思います。やはり、考え方の基本をしっかりと教育していくところが特徴です。宮下さんのおっしゃる通り、人の人生をサポートするということは非常にやりがいのあることで、お金に換えられない喜びがあります。ですが、給料も安すぎるわけにはいかないのでその辺りのバランスもしっかり考えながらやっています。
宮下:様々な取り組みについて詳細にご説明いただきありがとうございます。これまでお教えいただいたクイックの取り組みを少し整理させていただければと思います。企業価値の理論的な三要素は、売上成長、投下した資本に対する収益性、事業リスクの抑制、難しい言葉で言えば資本コストの抑制となります。だだ、これだと一般的には全く「感動しない」ので、JPRではもっとワクワクする概念で整理しております。それは、「挑戦者としての社会貢献による成長、Growthのワクワク感」「全てのステークホルダーの絆による収益性と資産効率性の向上:Connectionのワクワク感」「信頼・安心の向上:Confidenceのワクワク感」と言いう概念です。当社では、頭文字をとってGCC経営®※と名付けています。これが実践できれば、いわゆるマズローの心理学で整理された人間の持つ5つの欲求を満たし、幸せと企業価値の向上が同時達成できると整理しています。貴社はまさにこの考え方できれいに整理できます。(インタビューは以上)
JPRでは、インタビュー記事をベースに企業価値の評価を試みました。保守的に見ても10年で500億円の売上は達成するとの前提で、企業価値の3要素をベースに株主価値を推計する「超過利潤法」を用いると738億円の株主価値が理論的に試算されました。現状の時価総額の2倍以上の水準です。