JPRレポート
石巻専修大学市民のための公開講座 石巻専修大学 共創研究センター
『市民のための公開講座』 “藻から石油が取れるの?”
−市民のためのマリンバイオマスエネルギー理解講座−
開催日:平成23年9月14日(水) 13:00〜17:00
ジェイ・フェニックス・リサーチ株式会社では、上記の講座で講師を務めました。要旨は以下の通りです。
- 1リットル100円台の液化エネルギーを藻から精製して商業化するための、最大のボトルネックは、高い生産性の藻の大量培養技術の確立である。
- 各種開示資料から推察すると、光合成微細藻について現在の最先端の生産性は、バイオマス乾物量換算で、およそ30グラム/?u/day程度である。筆者が知る限り、この数字は2−3年前と比較して大きな進歩は見られていない。
- 数年前から、世界中で数百億円単位で藻類バイオマスのエネルギー産業化を目指した投資が行われているが、1リットル100円程度の価格での燃料実現にめどをつけている企業はいまだに表れていない。
- 米国では、抽出・精製技術には進展がみられるが、低コストの高い生産性の藻の一貫大量培養技術の確立ではブレークスルー的進展はなおみられない。軍向け高単価燃料の生産はすすんでいる。
- 日本では、藻の生化学的基礎研究では世界をリードしている。これらの研究は、藻類エネルギー産業を実現するための最も重要なボトルネックの解決に大きく寄与する可能性がある。よって、日本において藻の生化学的基礎研究を促進し、その成果を大量培養技術に結びつけて行けば、日本が藻類エネルギー産業において、世界のトップに立つことは十分に可能であると考えることに論理の飛躍はない。
- ただし、そのような動きを実現するためには、極めて広い産業・利害関係者の力の結集が必要である。
- 幅広い産官学の力・知恵を結集するには、実際に藻類産業を育成する特定の地域の協力体制・オーナーシップ意識が不可欠である。
- 世界的に見ても産業複合的な動き、特に特定の地域に根差した産業集積の動きは未整備であるため、日本において短期的に特定の地域で産官学の協力推進体制が進み、戦略的に重点課題に資金を集中して産業育成に取り組めば、世界の最先端になることは十分に可能と考える 。
詳細は以下のレポートをご参照ください。
20110914石巻講演資料.pdf(483.2KB)
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